戯言なので、あまり本気になさらぬよう…
周囲に「こいつ、できる…!!」と勘違いさせることができる手法です。
新しい環境で自分アピールしたい新入生は必見です。
■インターフェースを可能な限り暗くする 暗めのインターフェースは出来る人の証。 色味や発光感の確認がしやすいという実用的側面もありますが、 何より重要なのは画面から滲み出るプロっぽい高級感です。 後ろを通りかかりざまに画面をチラ見した人は間違いなく、 「奴は本物だ…!!」と信じて疑わないことでしょう。 環境設定で簡単に設定出来るので、すぐに実行しましょう。 ■プラグインでびっしりにする 全部体験版で構いません、手当たり次第プラグインをインストールしまくります。 ズラリと並ぶ謎めいた英単語群を目にした人は確実に、 「凄まじい使い手がここにいる…!!」と驚愕し、戦慄し、震え上がります。 また、人目につく時には必ず、使っていなくても出来るだけパラメーターの多いプラグインを目立つように表示します。 そしてパラメーターには必ず小数まで打ち込み、その度に納得していないような表情を浮かべます。 「処理速度は優秀だけど、インターフェースがちょっと」 などと注文をつけるとより効果的です。 ■エラーに動じないふり 百戦錬磨のエキスパートにとって、ありとあらゆるエラーは予測可能です。 上級者に「想定外」という言葉はありません。 AEが落ちても「直ちにレンダリングに影響が出るものではない」と毅然とした態度で再起動をします。 PCが固まったら「やはりな…」と腕組みをし、 青い画面が出たら「とうとう始まったな…」と呟いてベランダから空を見上げます。 ■通っぽいショートカットを披露する 夜な夜なヘルプを閲覧してショートカットを暗記し、隙あらば披露するようにします。 無数のキーの組み合わせを巧みに駆使する姿を目にした周囲の人たちに、 「こいつは只者ではない…!!」と思わせるのです。 ショートカットの中にも、通っぽいものとそうでないものがあります。 「Ctrl+A」や「Ctrl+D」程度では、情報化が行き届いた現代においては誰も見向きもしません。 「Ctrl+Alt+B」や「Alt+Shift+H」あたりが、そんなに使わないけど知っていると便利な、 ひけらかすのに丁度いい、通っぽいショートカットと言えます。 「先生」「博士」「師匠」といった称号、 そして賞賛と尊敬と羨望の眼差しが一挙に寄せられることでしょう。 ■「ガウスブラーwww」という態度 達人とは、ブラーひとつとっても妥協を許さない人に違いありません。 ブラーに強いこだわりを持っているかのように振舞うことで、 「あの人はブラーの違いまで理解している正真正銘の達人だ…!!」と信じ込ませます。 方法は至って簡単。 「ガウスブラーを否定する」それだけです。 特定のエフェクトを貶めるようなことをして問題は無いのでしょうか? ごもっともな疑問ですが、なんと、心配無いのです。 「ガウスブラー」は早い以外に特にこれといった特徴が無く、 「奴はブラーの中でも最弱、ブラー界の面汚しよ」と一部で言われるほど。 「ブラーの中では下」ということにしておいても、本当の上級者にも文句を言われにくいブラーなのです。 他のブラーに関しては「うん、いいと思うよ。でも、ケースバイケースだよね」と答えておきます。 ■デフォルトのレンズフレアを恥と知る 「マジックテープの財布」「録音した自分の声」「貧乏ゆすり」「全身タイツ」「寝ぐせ」 「シミ」「不具合」「床に落ちている謎のちぢれ毛」「観光地で中学生が買うもの全般」 「免許証の写真」「実家の麦茶の容器」「サイバイマン」「ヤムチャ」「チーターマン2」 「PS2版重装機兵ヴァルケン」「人気漫画の実写化」 「フリーの3Dオブジェクトのサイトでやたらと見かけるショボい戦闘機やガトリング砲」 「ワールドカップの時だけサッカーファンになる奴」「代表戦の折に渋谷に集合する奴ら」 「アニメ化されたとたんファンになる奴」「アニメ化されたとたんファンになる奴を見下す奴」 「卒業文集のポエム」「卒業文集のイラスト全般」「卒業文集の謎のランキング」 「新国立競技場」「手抜き工事」「食品偽装」「薬物依存」 「加齢臭」「悪送球」「誤変換」「記入漏れ」「作画崩壊」「汚職議員」etc... これらと並び、何も加工しないデフォルトのレンズフレアは、 ダサくて恥ずかしくて残念で惨めで不名誉な上、無様で格好悪く情けなくてショボいということにされています。 甚だ理不尽ですが、一部ではそういうことになっているのです。 「みんな見飽きたから」「初期設定を変えないのは人としてダメだから」「そもそも格好わるい」など、理由は諸説ありますが、 せっかくなので、ここは深く考えずに便乗しておきましょう。 もう上級動画師になったも同然です。 ■「フェード感www」という態度 何かしらのトランジションを作る際、フェードは御法度です。禁止です。 いや、厳密には禁止ではありません。 フェードイン、フェードアウトは立派な表現です。 偉大な先人たちの試行錯誤による映像技術の発展の中で人類が見出した英知です。 しかしながら、 「フェードは手抜きっぽいし、イケてないし、古臭いし、みっともない」 「2つのキーフレームだけでつくれちゃう表現なんて論外」 「フェード、カッコ悪い」 というのが、上級者と思しきオシャレ民の間では暗黙の了解となっています。 フェードにとっては、大変理不尽な扱いと言えます。フェード自身には何の罪もありません。 ここで、なぜなのか?を考えるよりも、風潮に乗っかることこそが雰囲気上級者への道です。 フェードっぽいものを目ざとく見つけ「フェード感が残念だね」などという発言を心がけることで、 上級者と思しきオシャレ民から「お、こいつ分かってるな」と一目置かれることが約束されます。 ■最後には必ずトーンカーブ 数ある色補正エフェクトの中でも「トーンカーブ」をマスターしてこそ一人前。 暗部の潰れと明部の飛びに気をつけながら、中間部分に重点を置いて各チャンネルを調整します。 よくわからなくても、とにかくやっておきます。 ■色の話題には深入りしない 色味やコントラストの話題は爆発物を扱うが如き最大限の警戒を持って接します。 尋常ならざるこだわり、異様なまでの執着、 「死ぬの?」っていうレベルの神経質さを発揮する本物のスペシャリスト、 またはスペシャリストだと思い込んでる人が、あなたの隣にも潜んでいるのです。 加えて、近年はCGの現実の色味へ近づくためのワークフローの改革が著しく、 その道のプロたちが、ややこしいカラーを真摯にグレーディングしています。 そんな中、間違っても「レベル補正とトーンカーブって、焼き鳥のタレと塩みたいなものでしょ?」 などといった、浅はかで幼稚で思慮に欠ける未熟で間の抜けた発言をしようものなら、 雰囲気上級者どころか、二度とまともに相手にされなくなる可能性があります。 厳禁です。 ■直接的ではない、遠まわしなレンダー重いアピール レンダー重いアピールは全員するのが義務なの?と思うくらい頻繁に耳にするので、 ありきたりな表現では誰の心にも響きません。 「モーションブラーと被写界深度をオフにすれば1フレ1分以内になるんだけどなぁ」 「8Kでレイトレースレンダリングした時に比べたら全然速いよ」 くらいの工夫が必要です。 ■「1フレづつマスクを切ったことが無い奴がロトブラシとかwww」 地道でアナログでつらくて大変な経験が、今の何かを支えているという考え方があります。 実際のところどうなのかは証明が困難で、ただのおっさんの苦労自慢である場合が殆どかと推測されますが、 ここは深く考えずに風潮に乗っかっておきます。 他の例としては、 「手描きこそ至高だしフォントに頼るとか甘え」 「PC自作したこと無い奴が何言ってんの?」 「CCから使い始めたゆとりめ」 等があります。 上手くいけば、「すごい経験を積んでいるに違いない…!」と思わせることができます。 但し、過剰に使用すると様々なトラブルを招くというか非常に鬱陶しいと思われるので、程々にします。 ■原理主義者 表現の元となるものに関する知識や考察が、創作の道筋を示すという考え方があります。 これはあながち間違ってはいませんので、便乗するしかありません。 「カメラの仕組み知らないのにAEでカメラってwww」 「レンズの知識無いのにレンズフレア使う奴www」 「モデリング以前にまずはデッサンでしょwww」 「紙に鉛筆で線を引く感覚を知ることから始めるべき」 などが挙げられます。 きっと巨匠の風格を身に纏えるでしょう。 ■「そういうスクリプト、どこかにあったと思うよ」 「全コンポジションの設定を一括で変更するにはどうしたらいいのか?」 「アンカーポイントを中心とか端に一発で移動できないか?」 といった、ヘルプに載っていないような質問を受けた際の回答として有効です。 誰もが簡単に思いつくような事柄に対応したスクリプトは、この世のどこかに存在します。 これは本当です。 上手くいけば嘘を言わずして、「情報通である」という印象を相手に刷り込むことが可能になります。 ■Plexus感に対する厳しい目線 Plexusは大変素晴らしいプラグインですが、 若干クセが強く、知っている人には一発でバレるという特性があります。 清々しいまでに一目で分かります。 しかし、バレたから一体何なのか? それは何らかのツールを使ってものを生産する立場の人が直面する永遠の課題です。 この件に関しては、 バレちゃダメ派の意見 ・同業者にも分からない手法を目指すのが作り手の正しい姿勢ではないか ・どこかで見たことがあるってことは、創造していないということだよね バレてもいい派の意見 ・「鉛筆で描いた」ということが分かっている絵でも、芸術に成り得るではないか ・一部の偏屈者の指摘に呑まれるな。我々の映像の矛先はPlexusはおろかAEすら知らない人々だ その他の意見 ・気にするならそもそも使うな ・バレないようにとか考えてる時間に他にいろいろできるよ ・仮にバレたとして、その程度で価値が損なわれてしまうような創作に果たして意味はあるのか ・スーパーで買った食材から夕飯のメニューがバレるのって少し恥ずかしいよね ・えっ、プラグインって要するに下着みたいなものなの? といった、様々な考えがあります。 ここではそういった議論には一切触れないものとし、 「うわ、これPlexus感が露骨っすよねwww」のように、 バレちゃダメみたいな風潮に乗った風の態度をとることを推奨します。 ■Twitchi感に対する冷静な目線 Twitchiは画面をチラつかせたりするエフェクトです。 手っ取り早く「手を加えた感」が出せるため、安易な使用が時折見受けられます。 特にRGBがチラチラと分離する表現は特徴的で、将来どう思われるか分からないリスクを伴います。 かつて謎の大流行を見せた「画面を複数に分割する手法」みたいな、 将来的に「うわぁ…」と思われる可能性が無いとは言い切れません。 そのようなリスクを回避するため、 「標準エフェクトでやると手間がかかるよね」 といった、表現そのものの是非には触れない発言を心がけます。 ■プリセットとの距離感 上級者にとって、あらかじめ用意されているものを使用することは恥ではありませんが、 その事が発覚するのは恥の極みであり最大限に避けるべき事態です。 経験者にとっての「これプリセットだよね」は、死の呪文の如く背筋が凍り身の毛もよだつ恐怖の言葉なのです。 そこで、雰囲気上級者としては、 「プリセットは、機能を勉強するのにはいいよね」 といった無難で当たり障り無い大人の発言をしつつ、 プリセットを使用する時は必ず何かしら数値を調整してバレないようにします。 ■ShockWaveやSaberとの賢い付き合い方 当初「すげぇ」と思われた素材やプラグインも、結局のところすぐにバレるやつになりました。 楽でかっこいいというイメージが先行し、状況を深く考察することなく 本来使わなくていい場面でも多用されることが違和感を生み目立つ結果につながり、 陳腐化を加速させているものと推測されます。 決して素材やプラグインのクオリティが実は低かったとかそういう話ではありません。 どんなに良い食材でも毎日三食は厳しいということです。 雰囲気上級者としてはそれらを利用して楽をしつつ、 「不釣合いかなと思ったけど敢えてやってみたよ」 「ちょっとした違和感が狙いなんだけどな〜」 など、安易に使用しているわけではない発言を心がけておけばよいでしょう。 ■最終的にアナログに行き着く 今の時代PCで絵を描いたところで見向きもされませんが、実際の紙を切り張りして何かを描くと、 「ぬくもりがあるね」 「個性的だよ」 「アートだね」 とか言われます。 PCの演算に頼っていない苦労が評価にプラスされるのは当然と言えば当然です。 そしてどういうわけか巨匠もベテランも初心者も面白いようにアナログに行き着きます。 アンパンマンにおける、ピンチからの顔チェンジ→アンパンチ→バイバイキーン と同じ、もう定番の流れです。必ずと言っていいほどアナログに行き着きます。 もはや様式美であると言ってさえよいでしょう。 人をアナログに行き着かせる力は半端ではないのです。まるでブラックホールです。 頑なにアナログに行き着かない方がかっこいいんじゃないかって気がしますが、 アナログなものを世の中は優しさで迎えてくれますし、 デジタルに抗い試行錯誤する人間性の証という感じの、とても徳の高いイメージも持たれます。 ここは進んでアナログの重力に身を任せるしかありません。 コマ撮りアニメ的なものを作って各種SNS上でアピールするといいでしょう。 雰囲気上級者の上位職である雰囲気アーティストへとクラスチェンジが可能になります。 いや、既に本物のアーティストなのかもしれません。 ■多機能マウスにショートカットを仕込む ■aescripts.com等、見た目でAE関連だと分かる海外サイトの文字が多いページを開いておく ■「AEは火や水の表現はまだまだだね」と言っておく ■エフェクトを見たらとりあえず「みんな一度はアレやろうとするよね」 ■エフェクト名はネイティブっぽい発音で ■「本なんて買わなくても、ヘルプにみんな書いてあるよ」 ■「Looks使うのは標準エフェクトでカラコレをマスターしてから」 ■「Particular使うのはパーティクルプレイグラウンドをマスターしてから」 ■「アニメーションカーブの操作性改善されないかなぁ」 ■「トーンカーブ改善されたけど、たまに他の色選択しちゃうの何とかならないかなぁ」 ■「シャターとカードダンスがモーションブラーと被写界深度に対応してくれたらなぁ」 ■「エクスプレッション?便利だけど状況によるよね」 ■「旧バージョンの稲妻の方が味があるよね」 ■「あっ、またあの炎素材www」 ■「なんでこのAE、レンダリングプリセットがデフォルトのままなの?」 ■「なんでこのAE、空間補間法をリニアにしてないの?」 ■「そうか、Infernoでいうとアレか」 ■「Nukeなら簡単にできるんだけどなー」 ■「コンバッションにも良さはあったよ。少なくとも俺にはね」 ■「パーティクルとレンズフレアはもう卒業したから」 ■「○○(任意のエフェクト名)、最初は使っちゃうよね。最初は」 ■「落ちるAEは無い。AEを落とす人がいるだけ」 ■「無人島に一つエフェクトを持っていけるとしたら、フラクタルノイズだね」 ■「素材の持ち味を殺すカラコレなら、何もしない方がマシ」 ■「ハイライトの赤がちょっと上がってない?モニター信用できないから数値で見せてよ」 ■「色を数値で考えてたの俺だけ?」 ■「プラグインに頼るのは甘え」 ■「あれ?気のせい?タービュランスのスケールが0.2〜0.3程度大きくない?」 ■「炭酸の泡をパーティクルに置き換えて数値で考えたこと無いの?」 ■「物理法則なんだから数式に当てはめればいいだけでしょ?」 ■「自分が手がけたコンポジションのパラメーターは全部体が覚えてるから」 ■「話を聞いた時点でコンポジションは頭の中にあって、後はそれを再現するだけだから」 ■「結局デジタルは嘘だからなー」 ■「これからはリアルタイム物理ベース、リニアワークフローでNukeが主流でしょ」 ■「何でも32bitにすればいいって思ってる人多すぎw」 ■「あーいつも使ってるスクリプト入ってないから使いづらいわー」 ■「あれ?このAE俺が自分で設定してるショートカットと違うわ」 ■「ごめん、英語版しか分かんないわ」
※新入社員は危険を伴うのでマネをしないでください。 |
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